最近ネット上を回遊していると、最近よく目にする漫画の広告があることに気づくでしょうか。
画のタッチは古く、人によっては少し気味の悪さすら感じてしまうようなある漫画が、現在電子配信ランキングで1位を独走しており、そのリアリティのあるストーリーが話題になっているんです。
曽根富美子さん原作の「親なるもの 断崖」がそれ。
実はこの作品、発表されたのは23年前の1992年。当時日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しているんですね。
気になるその内容ですが。。史実に基づいた、日本の黒い歴史ともいうべき時代、場所が舞台の悲しい物語です。
昭和初期の北海道、室蘭に実在した政府公認の遊郭、幕西遊郭が舞台。
遊郭というと江戸時代程度まで、というイメージがありますが、姿形を多少変えつつも、じつはこうした施設、文化は戦後まで現存していたようです。
遊郭で生きる、身売りされ、親の借金のために女郎や芸姑になった4人の女性を中心にした物語。
幕西遊郭に売られてきた松恵(16歳)、梅(11歳)、武子(13歳)、道子(11歳)の4人の姉妹。
彼女たちは親の借金のために身売りされ、女郎や芸姑になって遊郭で生きていくことになるんですね。
当時遊郭に入った女性は半玉(いわゆる芸者の見習いの事で、玉代と呼ばれる給与が一人前の芸者の半分だったことに由来)を経験した後に遊女たちは客(男性)を取るようになったそうですが、女将の判断により、劇中では一番上の松恵はなんと、遊郭到着早々に客を取ることに。。
そして、松恵は首をつってしまいます。。
松恵の借金はお梅が背負うことになってしまいます。13歳の武子は半玉として厳しい修行の毎日を送る事に。そして11歳の道子は下働きをすることになります。
人生に絶望し、自らの命を絶った松恵の借金は、そのまま妹たちに・・。情け容赦ない、女性としてはもちろん、人としての人格や尊厳とは無縁とも言える、強制労働の毎日。。
遊郭に入った女性が生きていくためには、芸妓か、遊女かのどちらかしかありません。
2部構成の「親なるもの 断崖」の第一部では、4人が遊郭に入り、松恵が首を吊ってからの約7年後まで三者三様の人生が描かれます。
史実を元にした作品ながら、幕西遊郭に関する書物や記録はほとんど残っていないようです。
しかし、数年前に見つかった「精算帳」には1,000円で家が一軒立つ時代に、1人平均の借金が963円もあったと言われるのに対し、1カ月の稼ぎである「玉代(たまだい)」は11円から49円であったようです。
そんなおよそ人間の生活とは思えない人生を半ば強制的に歩むことになってしまった女性が、なんとごく浅い最近(昭和32年頃?)まで存在していたというのは、なんとも恐ろしい話ですね。。
舞台である幕西遊郭は、裏口から遊女が逃げようとしてもそこは断崖絶壁だったのだそうです。
足抜き(逃亡)を企てれば死んだ方がマシと思えるほどの拷問が待っており、妊娠したら強制的に堕胎させられ、体を売っての稼ぎもピンハネされてしまうという悪循環。
いつまで経っても借金の返済などできなかったんですね。
また、昭和初期の遊女は一日平均して五人以上の客を取っていたようです。史実によれば、なんと1日に12人を相手にした遊女もいたと記されているんです。
当然、女郎のほとんどが淋病・梅毒などのあらゆる性病に感染していたようです。
こうした目を背けたくなるような、しかし確かにこの日本に存在した風化させてはいけない事実として、読者の人からは読むべき、学ぶべきとして今注目が集まっている作品、「親なるもの 断崖」。
1部が幕西遊郭で働く女性たちの生き様が生々しくも非常にリアリティ溢れる描写で描かれており、2部では身請けされ、遊郭を出てもひどく差別を受け、子どもも「女郎の子」といじめられることになってしまい、結婚しても決して幸せというわけでもないながら成長した梅の母としての姿が描かれています。
「親なるもの 断崖」は既に絶版となっているため、電子書籍でしか読むことは出来ません。
確かに目を背けたくなる描写の数々ですが、日本人として知っておくべき、そして決して繰り返しえてはいけない教訓とするべき過去が語られる「親なるもの 断崖」。
気になった方は、下記のサイトで無料の試し読みが出来ますので、訪問してみてくださいね。
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